COEDO KAWAGOE F.Cの中島涼輔氏(写真=多田哲平)

――スポンサーが増えることで、どんどんその輪が広がっていきますね。

 はい。ですから我々はスポンサー企業さんの数を増やすことをまずは重視しています。今は設立3年目で250社程度の企業さんにクラブを応援いただいていますが、2030年COEDO KAWAGOE F.CがJリーグ(J3)に加盟する年までには1万社のスポンサー企業さんコミュニティという未だない規模の新しい経済圏作りに挑戦したいです。川越は地元を大切にされている企業さんが多いこともあって、地域のためになるなら応援するよという企業さんが多く、本当にありがたい限りです。現在は8割程度が川越の企業さまとなっておりますが、県外や近隣市町村のスポンサー企業さんの数も最近は増えてきています。

――そういった狙いが初めからあって、埼玉県の第3の都市である川越市を本拠地としたのでしょうか?

 いえ、スポンサーコミュニティの可能性に気づいたのはクラブを立ち上げてからです。ホームタウンを川越市にさせていただいたのは、私と有田が川越に所縁があって、私自身も小学校と高校は川越でサッカーをやっていました。もちろん、この町は大きなポテンシャルを秘めていると思っています。観光の町としてそもそも強いエリアですので、ここにスポーツが組み合わさった際の爆発力はどんなものになるのだろうという想像が膨らみます。

 あとは東武東上線沿線の象徴となるようなスポーツクラブとなっていきたいという想いもあります。西武線にはプロ野球のライオンズがありますが、東武東上線にはこれまで代表的なスポーツクラブがありませんでした。ですからクラブの立ち上げを発表した時には、SNS上でも多くの期待の声をいただきました。この東上線沿線で色のあるクラブが地域と一緒に育っていって、地域の象徴となるようなそんなクラブを目指していきたいです。

――プロクラブができることによる経済効果は大きいですよね。

 それは間違いありません。弊社オフィスのある川越の蔵の街商店街は日中は大変観光で賑わっていますが、夜は、飲食店含め営業されているお店は多くはありません。また、宿泊する場所も少なく、宿泊客が少ないことも川越市としての大きな課題とされています。川越は都内からのアクセスも良いため、良い意味でも悪い意味でも都内から日帰りできますからね。

 ですが、もしJリーグのクラブが日曜日に試合をやるとなれば、土曜日は前泊するファン・サポーターの方が多く訪れると思いますし、そうすると宿泊施設ができて、夜に営業する飲食店も増える。つまり観光しながらスタジアムでサッカーを見るという動きが生まれる。そういうことが川越市なら可能だと考えています。観光としてもそもそも強い街が、スポーツでさらに活気づくそんな未来を目指しています。

 そして川越は、1FC川越水上公園(ワンエフシー)がありますし、多くのJリーガーを輩出している町でもあります。これまでワンエフシーの卒団生たちは、卒団後戻ってくるチームがなかったというのが実情で、ワンエフシーのコーチたちもまた地元でサッカーをやってほしいという想いを持ったコーチも少なくありませんでした。今回2023年4月より、これまでワンエフシーを運営してきたスポーツクリエイトさんと手を取り、将来的なJリーグ加盟に向けて連携を強化していくことで、間違いなく、すごいことが起こるんじゃないか。そういう確信を持っています。事実、現在でも4名のワンエフシー出身選手がチームには所属し、活躍してくれています。

(文・写真=多田哲平)