ーー世界で戦えるサッカー選手になるために、必要な要素はなんですか?
いろいろありますが僕がガンバ大阪時代から伝えている大きな原則は以下の7つです。1.ボールコントロールを30㎝以内に止めることができる2.35~40mのロングボールを速いライナーで蹴ることができる3.1対1で勝つことができる4.短時間でゴールを奪うことに関わることができる5.短時間でボールを奪うことに関わることができる6.苦しく、イライラするような状況が悪いときでも自制心(メンタルコントロール)ができる7.自分自身以外の10人からゴールを奪うためにボールを受ける、ボールを奪うためのストーリーを考えられる(予測、予知能力)
ここで皆さんからよく聞かれるのは「そういうプレーをできるようになるためのトレーニングを教えてください」。簡単なことです。上記7つのことを目的にして、できるまで反復トレーニングをすることです。そのトレーニングも選手自らが自主的、責任を持てる環境を作ることです。
いいサッカー選手になるため「自己反省し成長する」人間になろう
ーー6番目の「苦しく、イライラするような状況が悪いときでも自制心(メンタルコントロール)がある」も、実際にはなかなかできない要素ですね。
だって、審判にクレームを吐いても何の得にもならないじゃないですか。そして自分も反省しない。僕はある練習試合の後に選手たちにこう言いました。
「審判もミスをしている。それは解る。でも、君たちはミスしてないんか?しとるやろ?そこはお互い様やで。そして退場になったら試合に出られない。クラブにも迷惑がかかる。いいことなんか何もないやろ。頭に来る前にサッカーの言葉を考えろ」
そうならないから日本人は攻守の切り替えが遅いんですよ。「レフリングのことを考えている暇があったら守れ!攻めろ!」そういうことです。「得になることをしよう」。これは指導者が選手たちを成長させるために教えていかないといけないことです。
高校生に必須である「授業」もサッカーの成長につながるんです。授業を通じて解らなかった問題点を出して、自己分析して考えて解決する習慣を作っていけばいい。そういう人間になれば自立しますし、サッカーにも活きると思います。
逆に人間は押さえつけられると、どこかで発散しようとする。認めてあげて自分で自己反省し改善しようとするような人を作っていけば、いいサッカー選手になると思います。その積み重ねが強い個人になり、強い個人の集団が強い組織になるはずです。