ーーただ、特に高校生は心が揺らぎやすい時期でもあります。

 確かに高校生は多感な時期ですよね。ですから、指導者についてまずアドバイスするとしたら、選手に対してのビジョン。もし「プロになりたい」というビジョンがあれば、常にそこを見据えながらサポート・指導してあげること。そうすれば、高校3年間でプロになれる可能性は高まるし、もし高校生でプロになれなかったとしても大卒でプロになれる可能性ができる。20~30歳までのビジョンがあればサッカー選手ばかりでなく、人として成功する=目標を達成できる要素があります。

 もちろん「高校サッカー選手権に出る」という目標もいいと思いますけど、選手権に出ると共にプロも見据えてサッカーに取り組んでいくことで選手たちに「夢」や「やりがい」というものが生まれてくる。「夢」や「やりがい」は成長する原動力になります。

 人間は言葉に敏感になれば一人前。あとはいろいろなことに疑問を持っていく。それが大事なんです。そうやっていけば苦しみも楽しみになってくる。僕も33歳くらいになってそこに気付いて相手を認め、見守ってからアドバイスをするようになり、選手も伸びるようになってきましたし、自分の人生も変わって楽しくなってきました。

「向上心のあった」日本代表たち。そしてユース年代の選手・指導者へ

ーーでは実際にガンバ大阪ユースで上野山GMが指導された選手たちは、どのように成長してきたのですか?

 宇佐美 貴史(現J1ガンバ大阪・日本代表)はジュニアユース時代から教えましたが、自分をよく知っているし意識も高い。そしてゴールのない練習をするとこう言ってくるんです。「ゴールのない練習なんて意味ないですわ」。自分の足らんところを解っているからなんでしょうね。

 逆に宮本(恒靖・現J1ガンバ大阪監督)は努力家。家長(昭博・現J1川崎フロンターレ)のような巧い選手ではなかったですが、考える習慣を持っていたし、努力したし、よく指導者に質問していました。そして彼らはみんな向上心を持っていましたし、彼らの保護者は「チームに任せます」と言ってくれました。

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