ーーでは最後にユース年代の選手や関わる人たちに対してメッセージをお願い申し上げます。

 この前、カマタマーレ讃岐でアカデミーの選手たちにこんな質問をしました。「消防士の仕事は何をするの?」と。

 ある選手から返ってきた答えは「火を消すため」。違います。答えは「人の命を救うため。そのために火を消している」です。

 このように物事には必ず目的・目標がある。サッカーもそれと同じだと思うんですよ。知識を入れて、目的を達成するために考えて活用する。していいことと、してはいけないことは前提条件にあって、そこから優先順位を付けて考えていく。そんな選手になってほしいですね。

 そして人は人、自分は自分。もし現状で、チームメイトに負けていたとしたら自分はメッシ(アルゼンチン代表・FCバルセロナ)を目指せばいい。そして親御さんにも「今はチームメイトに負けている場合、そのことは本人が一番わかっているので、もっと上を目指すためにどうしたらいいか、手助けをしてほしい」ということは言ってあげたいですね。

ーーそういった上野山GMのメソッドが今季、大人の集団であるカマタマーレ讃岐でどのように化学変化するのかを楽しみにしています。

 トップチームはすでに変化してきていますし、アカデミー年代にもこういった理論を注入していきます。トップチームの選手たちだけを見ても始動時には明らかに顔つきが変わって、話す言葉もすごく成長してきている。ミーティングでも目的に対して、いい意見交換もできている。

 そして1995年以降のガンバ大阪がそうだったように、10年後にはアカデミー出身の選手が多くを占めるようにしたいと思っているので、サポーター、ファンの皆さんは楽しみにしてもらっていいと思います。僕もワクワクしています。 

(取材=寺下友徳 写真=ⒸKAMATAMARE SANUKI )