東急SレイエスFC U-15

ーークラブとしての解を持つ。

 フットボールとはシンプルで奥深いもので、人間とはエモーショナルで複雑なものです。そのため、フットボールの捉え方も指導の考え方も唯一解が無いからこそ、クラブとしての解を持つことが同じエンブレムを身に付ける前提になるのだと考えます。

 例えば、選手が「良いプレー」をできるように指導者はアプローチするわけですが、では「良いプレー」とはどのようなプレーかというと、考え方が一つになることはないはずです。なぜなら、そのプレーが引き起こした現象は様々なものの相互作用がもたらした結果であり、瞬間的な効果や効率など、一つの物差しで評することはできないからです。
 例えば、速く攻めることで効率を高めることがありますが、ゆっくり攻めることで様々な効果を最大化し結局は効率も高まることがありますし、また、点差や時間帯にも依ります。そして、フットボールは人間同士が行うインナーゲームですから、一つのプレーが及ぼす心的影響や他者との相互作用は到底測りきれるはずがありません。一見無駄に見えるプレーが相手の思考に油断という隙を生み、巡り巡ってゴールを生む可能性すらあります。

 そもそも、フットボールとは体育でも運動でもなく、スポーツでありゲームですから、評価基準には芸術性という魅力が含まれるとも考えられます。そうなると、観ている人の感性に左右されるものですから、ますます一つの基準では測れません。

ーーだからこそ、「レイエスではこう考える」。

 だからこそ我々なりの考え方が必要であり、クラブとして一つの解を持つことが大事なのだと考えます。構造上の原理に基づいた普遍的なものはありますが、多くの原則は多角的に考えることができるわけですから、やはり正しいプレーも唯一のものはない。なので、プレーやフットボールの捉え方に限らず指導面においても、「レイエスではこう考える」というものを定めるに至りました。

 それをコーチングスタッフに浸透させ、コーチングスタッフを通じて選手に届ける。それがテクニカルダイレクターとして私の役割でもあります。もちろん、その解とは途中解であり部分解であり、正解ではなくつまりは一つの基準です。
 スタッフそれぞれがその基準に則りながら、目の前の選手とゲームに相応しい最適解を見つけていくことが指導者としての成長となり、選手への還元を最大化することになる。そしてゆくゆくは、クラブへの貢献に繋がるのではないかと思います。もちろん私も発展途上の指導者ですので、クラブスタッフから大いに刺激をもらい糧にさせてもらっています。そうやって切磋琢磨できる環境をつくり続けることが、更なる目標の一つです。

ーー次回、自身のビジョンについても詳しく伺う。

▽東急SレイエスFC オリジナル育成メソッド”Rメソッド”
オリジナル育成メソッド”Rメソッド”