東急SレイエスFC テクニカルダイレクター柳川信氏
ーー懐疑無くして確信は無い。
信念という大それたことでもないのですが、常に自分に言い聞かせているのは「懐疑的」であることです。「否定的」ではなく「懐疑的」です。定説を、習慣を、基本を、当たり前を、そして昨日の自分を常に疑うようにしています。なにせフットボールですし、言い切れることって少ないと思うので。本当にそうなのかって。
もちろんプレーモデルで定めたことや、選手に発信するものについては確信を持ったからこそ言葉にして伝えていますが、それらも確信に至るまでには必ず懐疑がありました。懐疑無くして確信なんて無いと思うんです。特に情報に溢れる現代では、視野を広げて耳を澄ますことで様々な学びの契機に出会えると思いますが、ただひたすらに感心して鵜呑みにすることなく、また自分の感覚だけで頭から否定することなく、懐疑的に受け入れることで新たな気付きが生まれたり、回り回って本質的に理解して自分のものになったりするという経験がこれまでもありました。遠回りすることもありますが、これが自分の性なので、しょうがないですね(笑)。
ーー指導者の質に定評のあるクラブにしていく。
今後のビジョンについては、今の役割に置けるものとしては、育成クラブとして良い選手を輩出し続けるという最大目標に対して、指導者養成の面で貢献することが一つあるかと思いますので、『指導者の質に定評のあるクラブにしていく』ことでしょうか。そのために、一人一人の経験をクラブとしての経験にすることで全員の成長スピードを倍速にできるような仕組みを作る必要があります。
先頭を走る人の軌跡を次の人も辿り、「あの時言っていたことが自分も経験することでようやくわかった」とならないようにしたいです。その為には共有の手法を最大限工夫しなければならないですし、信頼関係も必要になり難しいことだとは思いますが、チャレンジしていきたいですね。
また、定評を獲得するには晒されなければならないわけですが、実は、コロナの影響で残念ながら中止しましたが、この春にもクラブ内で実施する指導者研修を外部の人も参加できるようなオープンな形で計画していたんですよ。内側だけで完結していては気付けないこともありますし、認めてもらえれば自信にもなりますし。ベテランになるほどクラブ内で意見されることが少なくなりますしね。また、クラブのメソッドを見てもらうことで、それについても意見をもらえる機会にもなりますし、その中で、外部の人にも何かきっかけを与えられれば最高ですよね。
▽東急SレイエスFC オリジナル育成メソッド”Rメソッド”
オリジナル育成メソッド”Rメソッド”