ーー長く実況をやられていたということですが、初めての実況を担当した時のことは覚えていますか?

 初めての実況の時は大商大の上田亮三郎先生が解説で、上田先生の人を心地よくさせる天才的なムードメイクにずっと主導していただいて、その通りに喋っていました。一番印象に残っているのはバックスタンドからブラスバンドの演奏が流れた時に、上田さんが近大附の校舎の話をされて「そうか、ここで学校紹介の話をするのか」と気付かせていただいたことです。

 上田先生がとにかく選手を褒めていたので、高校サッカーは3年生でサッカーを辞める選手が多いということもあり、"とにかく良いところを褒めてあげる"ということをそこで上田先生から教わりました。いくら高校サッカーの決勝に進んできたといっても、やはりプロや大学生のレベルからしたらまだまだ未完成。でもだからこそ高校サッカーはドラマが起こるんですよね。未完成の選手たちが夢を追いかけて最高の舞台で戦うから劇的なドラマが起こる。プロよりもドラマが起こるのが高校サッカーだと思います。だから面白くて大人が夢中になってしまうんですよ。

ーー学生時代はサッカーに関わっていたのですか?

 私自身も小学校の時はサッカーをやっていました。実は私の妹がアトランタ五輪の日本代表GK(小澤純子)なんですが、家族みんなでサッカーを応援していました。私も小学校の時はGKだったのですが、中学校にサッカー部がなかったのでそこで辞めてしまいました。それでも子供の頃からサッカーが好きだったので、読売テレビに入社した時には「高校サッカーと阪神タイガースの実況は絶対にやりたい!」と強く思っていました。それで実際に1年目からサッカーを担当させていただいて「やっぱりサッカーはいいなー」と思ったのを覚えています。現在はアナウンス部長なのですが、今でもサッカーの業務には携わらせていただいています。

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