――いろんなクラブを指導してきたなかで、一番大事にしていることは?

 考え方は年々変化していますね。レイソルは規定的な指導をするクラブではなかったですけど、練習で何を取り組んだかという意識が強いコーチが多いので、勝負にはかなりこだわっていましたが、良い意味で結果よりも内容と質を求めることが多かった。私が育ったヴェルディも同じく、どちらかと言えば内容重視でしたから、私にはそのスタンスもあります。でも栃木SCでは「結果が大事」という考え方もありました。街クラブもそうですが、まず実績を積まないと会員が増えない。そうやって大事にするものはチームによって違うので、その都度対応してきた感じですね。

――ただ、クラブによって求められるものが違うなかでも、変えなかったことがあるのではないですか?

 それで言うと、選手の個性や特徴を活かすことですね。レイソルではテクニックのある選手が多くて、セレッソはそれに比べてイケイケというか個人能力が高い子が多かった。だからセレッソではレイソルの指導体系を当てはめることはしませんでした。チームのカラーというか独自のスタイルはあっても、そこに選手を当てはめるのではなくて、個性を活かしたうえで、その色を打ち出すこと。そこは常に意識したかもしれません。

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