湘南ベルマーレ2023新体制発表会©︎SHONAN BELLMARE

ーーでは現役時代、現役引退後を含めて印象に残っている試合などはありますか?

 3つあって、1つ目は2001年J2開幕戦の横浜FC戦。この試合がJリーグデビュー戦で自分がゴールを決めて1-0で勝ったんですけれども、それがきっかけでずっと試合に使ってもらえるようになって。それまではなかなか試合に出ることができなかったんですけれども、ある意味選手としていいスタートを切れたということで、「自分、持ってるな」なんて思っていましたね。

 2つ目は2006年のJ2最終節、ホームでの試合で柏レイソルに負けたんですけれども、その試合に勝ったレイソルがJ1昇格を決めて。目の前でレイソルの選手たちがめちゃめちゃ喜んでいたんです。それを見て、「俺もコレをやらないとプロじゃない」と思ったことを覚えています。

 3つ目は2009年のシーズンでJ1昇格を決めた水戸ホーリーホック戦ですね。自分が湘南に来てから目標にしていたものを達成できたということで、自分の人生を大きく変えたなという試合ですね。湘南でJ1昇格を達成できたというのは、今も湘南で仕事ができている大きな要因の1つかなと思っています。デビュー、屈辱、昇格という3つを味わった試合は、自分の中ですごく色濃く残っています。

ーー最後に中学生、高校生の選手たちに上達のためのアドバイスをお願いします

 自分の中学・高校時代と比べると上手い選手は増えたような気はするんですけれども、1つ尖ったものを持った選手というのは少なくなってきているかなというような印象はありますね。じつはプロの選手でもどこかで壁にぶち当たることが多いんです。試合に出られない時間も長かったりする。そんな時に、1つ尖った部分、誰にも負けない特徴とかを持っている選手と、そういった特徴の無い選手では、特徴を持っている選手の方が、それを軸にメンタルを立て直したりできたりするような気がします。逆に比較的になんでもできる選手の方がスランプに陥りやすいというか、「自分はどの部分で他人と差を付ければいいのか」などと悩んでしまったりすることも多い。

 なのでアドバイスとしては、中学や高校の時に「これだけは絶対に誰にも負けない」というものは身に付けておいた方がいいと思います。1つ自信を持つことができると、それをきっかけにいろいろなものができるようになったり、後から付いてくるものってたくさんあるので、まずは1つを磨きに磨いてほしいなと思います。

 自分は高校の時(静岡学園)はFWで足も速くなかったですし、フィジカルもなかったんですけれども、めちゃめちゃ点を取っていて。逆に言えばそれしかなかったんですけれども、点を取る能力だけでプロになれたという感じなんです。プロのキャリアの終盤ではボランチとかもやっていたんですけれども、ボランチをやりながらも大事なところでは点を取っていたりして。調子が悪くても点を取ることで調子を取り戻したりできたので、何か1つでも自分が信じられるものを持っているか持っていないかで全然変わってくるのかなと思います。なので、まずは1つ誰にも負けない特徴を身に付けてほしいなと思います。