――南葛SC U-18をどんなチームにしたいか、描いているビジョンは?

 ひとつは当然、選手の能力を最大値にすること。レイソルやヴェルディといったJクラブのようにエリートが集まってくるわけではありませんが、「ボールはともだち」という大きなコンセプトに基づいて一人ひとりのポテンシャルを極限まで引き出してあげたいと考えています。

 そのなかで最も重視するのが「適応力」です。例えば、強い相手にはボールを握れずにどうしても守備に回ることもある。「それなら守ってカウンターをしようぜ」とか相手のシステム変更やマークの傾向を観察してポジショニングを変えるとか、選手たち主導で考えて実行できるチームにしたい。こちらから「あれやれ、これやれ」と言ってやらせればすぐにできてしまいますが、それでは選手の適応力は育まれません。

――「適応力」がひとつのキーワードになりそうですね。

 状況が変わっても、それに柔軟に対応できるのが一番良い選手だと私は考えています。よくレイソルの教え子たちに言っていたんですよ。「一番良い選手を誰か知ってるかい?

 大谷(秀和)だよ」と。左SBもボランチもこなし、監督が代わっても常に試合で使われ続ける。

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