――まさにサクセスストーリーを描いた中高時代でしたが、友だちと遊びに行きたいとかそういった誘惑に飲まれるようなことはなかったですか。

 とにかくサッカー中心だったし、学校の友だちよりユースの子たちと一緒に行動することが多かったのもあって、そういうことはあまりなかったです。みんなが放課後にマックや映画に行って遊んでいるのを尻目に練習に行っていた感じですね。学校で一番仲が良かったのは、1個上にいた小林裕紀くん。彼は当時ヴェルディユースに通っていたので、いろいろ話をしていました。

 あと当時はギャル男ファッションが流行っていて学校の子たちは髪を染めたりもしていたんですけど、ユースの有馬賢二コーチが髪型とかにも厳しかったのもあって我慢していました。まあ実は日サロに行くくらいはしていましたけど(笑)。

――学校は結構自由だったのですね。

 そうですね。でもユースの監督が学校に生活態度を確かめに来るので、僕は絶対に自由にはできない状況でした。しかも学期の終わりには通信簿をクラブに提出するんです。遅刻5回か欠席5回、または赤点を取ったら坊主。だから、内申点がもらえるように、とにかく担任の先生と良い関係を作るようにしていました(笑)。コーチが来た時には、密かに「良いように言っておいてください」とお願いをしたり。そうやって必死に坊主を免れていましたね。ちなみに1個下の三田(啓貴)はしょっちゅう坊主になっていました。

――それもまた生き抜く力ですね。岡田選手から見て、今の学生はどう映っていますか?

 小学生を教える機会があるんですが、その時できないことをすぐに「できない」って諦めちゃう子が多いなと思うんですよね。初めはできなくて当たり前という気持ちでチャレンジする子が増えたらいいなと。

――ちなみに来年から南葛SCではU-18チームがスタートします。どんな選手が育ってほしいですか。

 とにかく南葛SCを好きになってほしいですね。僕もアカデミーを卒業した後もFC東京のことはやっぱり気になるし、応援もしている。Jリーグでトップチームと試合にする時には自然と気持ちが入ったりもしました。そういうふうに、いつまでも南葛SCを好きでいてくれる選手が出てきてほしいですね。

――では最後に中高生にメッセージをお願いします。

 とにかく何事にもガムシャラに頑張ってくれたら。今できることを一生懸命に、できないことも諦めずにどんどんチャレンジしてほしいです。

(文=多田哲平)