インタビューに応じてくれた寺島氏(写真=多田哲平)

――足でボールを扱うスポーツですが、サッカーとはまったく違う技術や体の動きが求められそうですね。

 そうなんです。柔軟性や体の操作性がすごく重要です。サッカーはフィジカルコンタクトがあって、走りながらボールを扱う技術が求められますが、セパタクローはコンタクトがなくて、常にボールが空中にあります。なのでいかに足を高く上げるかや、股関節や身体の使い方が大切になる。またサッカーは前や横方向へのパスが基本ですが、セパタクローは上に向かって蹴り上げる。キック一つひとつのアプローチが異なります。

――競技をやり始めた頃は困惑もありましたか?

 本物のセパタクローの形になるまでは多少の時間はかかりましたね。

――それでも半年間で日本代表に選ばれていますよね。

 サッカーをやっている時も、一生懸命リフティングを練習していたので、空中でボールを扱う感覚が養われていたのかもしれないですね。スパイクも最初からそれなりに形になっていたので、向いていたんだと思います。ただ代表に入れてもらえたのは将来性を見越してのものです。最初の国際大会では試合には出られなかったですからね。

――ただその代表選出がその後の人生に大きく影響したと思います。

 それは間違いないですね。セパタクローにどっぷり浸かる人生になったのは、日本代表に入った事実が大きかったです。サッカーをやっている時も、本当にひと握りの人しか届かない日本代表というものに憧れはありました。競技は違えど自分がその立場になって、海外に行って国際試合を戦える環境は凄く魅力的だったし、やり甲斐を感じましたね。自分が生きるのはここだと、本気の覚悟が決まったきっかけだったかもしれません。

第2回へ続く