「対戦相手のビデオを見て戦い方の対策は考えていたんですが、最終的には自分たちの形をもってこの選手権には臨まないといけないと考えていました。だから、3試合通じて自分たちがどんなサッカーをするか、どう闘うかにフォーカスをあてていました。だから初戦が東海大山形に決まっても、まずはより自分たちの攻撃の質、守備の強度を高めていくようにしていました」

 あくまで自分たち主導で自らを高めた上で相手を見ていく。すると恐れでなく自信が生まれる。「東海大山形の映像を見ていても、これなら自分たちなら意外とやれる部分があると思いました。実際は相手の守備の強度やパススピードが速くて試合は支配される部分が多かったんですが……」。MF松永が振り返る。

 ここで映像と実際のギャップを埋めるベースとなったのが#1で触れた「プレスバック、二度追い・三度追い、シュートブロック」。選手たちは「そんなことは前橋育英さんのように明文化されていないです」と同席した兵頭龍哉監督監督に苦笑いを浮かべさせたが、これも普段のトレーニングを通じメソッドが身に染みついているからこそ。かくして後半18分、MF川口絢三(新3年)の粘りで仕留めた1点を守り切った松山北は、悲願の「選手権1勝」をつかみ取った。